先天性の難病「鰓弓症候群」で障害基礎年金1級を遡及請求できた例
1 相談に来られた時の状況(男性、20代、無職、遡及あり)
ご両親とご本人がご相談に来られました。ご本人は先天性の難病(全国に250人程の稀なご病気)がもとで、生まれた時から難聴など様々な障害をお持ちでした。生後まもなく気管切開や胃ろうの手術を受けられ、チューブから体に酸素や栄養を取り入れておられます。幼稚園から高校まで聾学校に通われましたが、登校には必ずお母様が付き添い、酸素や胃ろうの管理をされていたとのことでした。常に介助者がいなければ生活ができず、ご家族も大変ご苦労されているご様子でした。
2 当センターの見解
生まれつきのご病気なので、20歳前傷病として基礎年金請求ができることをお伝えしました。
ご本人は、気管を切開しているため食べ物を飲み込むことが全くできず、胃ろうのみから栄養を補給されております。ご両親のお話しによると、自宅では一日のほとんどを横になって過ごしており、一人では外出できない事から障害等級2級相当であると判断しました。
また、鰓弓症候群により生まれつきの難聴と言語障害があるため、会話は成り立たず、言葉による意思疎通ができないことから、こちらも障害等級2級相当でした。
これら二つの障害の併合認定を求めることで、障害基礎年金1級の認定を受けることが可能ではないか、と考えました。
3 サポート依頼を受けてから年金請求までに行ったこと
①初診の病院にカルテが残っていなかったため、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を添付しなければなりませんでした。そこで、現在通院されている病院にカルテ開示請求し、初診日が証明できるカルテの写しと診療情報提供書を入手しました。
② ご両親からご病気による具体的な症状や、ご本人が日常生活でご不便な点を詳しくお聞きし、診断書発行時に添える自己申告書をまとめました。
③上記の自己申告書を添えて、小児科と耳鼻咽喉科の医師に診断書(20歳時点のものと現在のものを各2通)作成の依頼をしました。尚、耳鼻咽喉科の医師には原因傷病を小児科医が診断した上記の難病であると診断書に明示していただきました。
④聴力障害、呼吸器障害ごとに「病歴・就労状況等申立書」を作成しました。お母さまが病院に開示請求をされ持参された千ページを超えるカルテに基づき、ご本人の誕生から現在までの治療過程を何度もお聞きしながら可能な限り詳細に作成しました。
4 結果
上記の取り組みにより、障害基礎年金1級の認定通知を受けることができ、約97万円の年金を受給することができました。また、遡及請求も認められ、約160万円の一時金の入金もありました。後日、お母様より「当センターに依頼して本当によかった」と心のこもったお手紙をいただきました。